穴窯焼成体験 2016 春

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第23回 穴窯焼成体験 2016/4/30〜2016/5/14

 

<窯詰め>2016/4/30

 

やきものの原点とも言える穴窯焼成イベント1日目。
「窯詰め」をご紹介致します。
大阪北部、兵庫と京都の県境にあたる大阪能勢町にゆう工房の穴窯はあります。
そこは田園風景に虫の声、山や畑で仕事されている地元の人々の暮らしを肌で感じる事のできる心地良い秘境です。

 

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今回の窯詰めには4名の会員さんがご参加。
道具の使い方、窯の構造や作品の持ち方、窯詰めのポイントをしっかり学びます。
大人2人入るのがやっとの広さの本間と、大人1人入ると身動きのとれない程狭い一の間に分かれて作業スタートです。

 

全国9教室から集まった作品約300点。
形状や釉薬の種類によって窯の中の配置が異なるため慎重に厳選しながら詰めていきます。
背の高い花器やオブジェにタタラ皿、蓋物、徳利、御猪口等々。
会員さん曰く「その時の流行りがあるのかなって感じました」
確かに感じます。
物は人の手から生まれ、その時代の生活の中から作られます。
いつの時代も流行の音楽やファッションがあるように。

 

又、「工夫されたタタラ作品が今回すごく多く勉強になったし、タタラ作品の窯詰めには驚きの連続でした」
タタラ作品がくっつかないように赤貝を挟んで詰めていきます。この貝の位置がとても大事!焼成後に貝の目がどのような景色が出るのか想像しながら詰めていく大切な役割となります。
窯の中では身動きも取り辛く、「天井が低く何度も頭を打ったのが印象的です(笑)」
「腰を曲げての作業に集中するとずっと同じ体勢でいることを忘れて、気が付いたら体がバキバキでした」
と、悪戦苦闘。
「外の音も聞こえない狭い空間も意外と落ち着きますね」
と、中に入った人にしか感じる事ができない貴重な体験となりました。
出てくると皆声を揃えて「ふう~笑」と、額の汗がキラキラ。
自然の中で一日仕事をする気持ち良さに再確認し、初日の幕を閉じました。

 

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<焼成1日目>2016/5/3

 

今日から2日間の焼成が始まりました。
1日3交代制で火を絶やさず作品を焼き上げていきます。

 

<焼成1日目1ブース・火入れ>

男性会員さん4名のご参加。遠路はるばる東京から参加して下さった会員さんもいらっしゃいました。

 

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窯の入口と空気の出口となる煙突の蓋を開け、温度計の説明や薪の組み方等細かくレクチャーを受けた後、いよいよ火入れです。薪の乾燥状態も良く、一度火がつくと窯の中に炎が広がりました。温度を上げるため窯に薪を入れる係と燃料となる薪を切る係に分担して作業に取り組んでいきます。

 

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男性4名ともあって手際よくチェーンソーで薪を切っていただきました。
田舎の山々の風景と木を切るチェーンソーの音と木の香りは心地よく馴染みますね。
「チェーンソーが意外に腰にきた笑」
日頃の生活ではまず使用しないチェーンソー。自然の中で汗をかいてバリバリと薪を切る体験もこんな時しか出来ません。
想像以上にリフレッシュできますよ。

 

 

<焼成1日目2ブース>
午後からは4名の会員さんとスタッフ2名で引き続き、薪切りと薪の投じ方を学びスタートです。
会員さん曰く、
「窯の中でやかれているお皿が綺麗だった」
初めて目にした人は誰もがこの色彩に感動を覚えます。自分もその一人です。
煌々と輝く1000度近い窯の中。そこには作為を超越した「火まかせ」の空間が広がります。

 

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「薪入れは慣れると楽しかった」
「薪入れにチェーンソーでの薪切りとあっという間だった」
あたたかい昼間から日暮れを過ぎ時を忘れ夜まで薪を投じます。深夜に薪を切れないため、その分沢山切っていただいてありがとうございました。

 

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<焼成1日目深夜ブース>
日中火入れを頑張って下さった皆さんからバトンを受け取り22時より翌朝8時まで続行します。
会員さん2名、スタッフ2名と少人数での深夜ブース。
今回、朝から深夜まで丸一日窯場にて温度を上げて下さった会員さんには脱帽です。
夜中は急な悪天候に。びしょ濡れになりながらも火入れと作業場の確保に徹します。困難を乗り越えると不思議と団結力が生まれます。
2時頃には嵐も落ち着き、冷えた体を窯の側で暖をとります。
外は冷えますが窯場は熱いためロングTシャツ一枚で作業できましたね。

 

「嵐も含め良い思い出になりました笑」
「毎回何が起こるか分からないから面白い、毎回実験だね」
自然相手にすると予想不可能な事も。そんな時こそ工夫するのが面白いですね。

 

「温度計の無かった時代はどうやって温度見ていたんでしょうね」
「炎を見て経験や勘を頼っていたのでは?」
まさにその当時は温度は窯の中を見て、炎の光、陶器の状態を目視で確認していました。これこそ職人技ですね。

 

明け方、段々空が藍色に変化し山々の輪郭がくっきり姿を現し澄んだ空気での深呼吸は贅沢に感じました。

 

 


 

 

<焼成2日目>2016/5/4

 

朝8時にはすでに1000度を超えており、火袋の前は立っているだけでとても熱い。
ベテラン会員さん6名とスタッフ3名で引き継ます。
1200度目指して2人ペアでの窯焚きです。7分半おきに薪を投じますが窯の温度は順調に上がったと思えば下がったり。3歩進んでは2歩戻る。
会員さんの呼吸もぴったり合っていて、教室にいる時より距離が近く感じられますね。
午後からは2名の会員さんもご参加いただき、窯をお任せすることも。焼成後半は確実に温度を上げていかなければならないため、焼成室後ろにある一の間にも乾燥した薪を投じます。
一の間は非常に狭い空間で、薪を投入する側に作品が密集していますので交代で休憩を取り、最後の正念場!

 

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熱い窯の前での作業は体力を奪われますが水分補給しながら何度も繰り返し行います。チームプレーが無いと窯に嫌われてしまいます。
数回ドン!と大きな音を立て火柱が上がります。窯がまるで大きな生物のように感じられ、自然とこちらの力も入ります。

 

火柱に窯の中の炎。揺らめく炎はいつまでも見飽きることがありません。かつて人間の祖先が竪穴式住居の中で焚火の炎で生活をしていました。炎を見て暮らしていたのでしょう。炎で器を焼くことも生活の一部のように思います。
揺らめく炎による美しい千変万化を祈って焼成の幕を閉じました。

 

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<窯出し>2016/5/14

 

今回は焼成から約10日間自然冷却しました。
会員さん6名、スタッフ3名で窯出しです。
初めて参加して下さった会員さんもいらっしゃったので窯出し方法と注意点をレクチャーしてから窯の蓋を慎重に開いていきます。
この時が最もドキドキ!
開いた瞬間「めっちゃ綺麗!!」
そこにはキラキラした表情で器が佇んでいます。
やはり今回薪の乾燥具合も良かったり、何より会員さん皆さんに手伝っていただいたお陰です。
興奮して思わず写真を撮りましたね。
蓋を開けまず沢山残っている灰をかき出し集めます。再利用して天然の釉薬に生まれ変わるため大切な灰なのです。

 

10日間冷ました窯の中はとてもひんやり。
どの場所にどんな器が焼かれて、何の釉薬が掛かっていたのか1つ1つ検証していきます。
「あっ!私の作品見つけた!へぇこんな色になるんだ」
窯の中では宝探しのように心躍ります。炎と灰を被った天然の焼き色は想像を超えた景色が広がります。

 

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「火前に出しても良かったな」
「この器に掛かっている釉薬は何だろう?」
「次回この作品ヒントに作ってみよう」
出てきた作品から多くの発見がありましたね。どの方向から火が強く当たって釉薬が流れるか、形状によって釉薬の流れやすい形、上手くくぼみに流れてくれる形等、穴窯向きな形や景色を講評していきます。

 

「兜格好いい!」
今回講座で作陶した赤2土焼き締めによるオブジェ。
続々と出てきては鉄が燻されたような重厚な質感に感動しました。その存在感はまさに出土品。

 

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さて春の穴窯焼成体験いかがでしたでしょうか。
何度経験しても毎回新しい発見と魅力があります。
1つは「質感」ですね。土が変容する美しさは見て触れて新たな創造が生まれます。
もう1つは「体現」できることです。手作りした器を窯の中に入って詰め、薪を切り、炎で焼成して自らの手で作品を取り出す経験は物作りする手に刺激的です。
表現の幅が広がると毎日の暮らしが楽しくなります。

 

また秋に向けて作陶していきましょう!
スタッフ一同丁寧に相談、アドバイスさせていただきますね。
皆さんの刺激的な作品に出会えるのを楽しみにしております。

 

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